粒子の熱運動


はじめに

 さて、ここでプラズマ波動から離れて、プラズマを構成するイオンと電子の熱運動についてアプレットのシミュレーションを紹介しようと思う。


電子とイオンの熱運動

これまで見てきた波動では、温度が0(ゼロ)のコールドプラズマであって、プラズマを構成する電子とイオンは(電磁力がはたらかない限り)静止していると仮定した。ところが、実際のプラズマは温度が0でなく、熱運動をしている

温度の熱平衡状態において、速度ベクトルとの間にある粒子sの個数は、いわゆるマックスウェル分布則

に従う。ここで、は、
で定義される粒子sの熱速度である。はボルツマン定数である。

熱平衡状態の粒子は、このマックスウェル分布に従い、乱雑な運動をしている。…というのはプラズマ物理の常識でよく分かっていることだろう。

早速、電子とイオンの熱運動のシミュレーションのアプレットを紹介する。

アプレットを開く

以下のアプレットが開くだろう。

デフォルトでは、左カンバスでは、電子温度、イオン温度共に1keVの場合、右カンバスでは電子温度、イオン温度共に0の場合のそれぞれ100個の電子とイオンの熱運動をシミュレーションしている。なお、外部磁場は存在しない電子は赤丸で、イオンは青丸で表している。相対論は無視している。さらに、無衝突を仮定している。

各カンバス下の"T=..."と書かれたスクロールバーや"Cold"と描かれたチェックボックスを操作することにより、温度の変更ができるのは分かるだろう。

右カンバスでは、温度0のため電子、イオン共に静止しており、これといって特にいうことはない。

一方、左カンバスでは電子、イオン共にランダムな運動をしている。なお、これらの粒子の速度分布がマックスウェル分布に従うようシミュレーションしている。見ると分かるとおり、電子(赤丸)の運動に対し、イオン(青丸)はほとんど静止している。

プラズマ物理の世界では、電子の熱運動に対して、イオンの熱運動を無視することがよく行われる。果たしてイオンがどの程度静止しているのか気になるところだが、実際のところ、このアプレットが見せているような感じである。

なお、ここでは電子温度=イオン温度としてシミュレーションを行なっていることに注意されたい。イオン温度が電子温度に等しいというのは稀であり、多くの場合(特に弱電離プラズマでは)イオン温度が電子温度より遥かに低いことに注意されたい。


磁場中の電子とイオンの熱運動

前のアプレットでは、外部磁場が存在しない場合における熱運動をシミュレーションした。

外部磁場が存在すると、電子とイオンはローレンツ力により磁場に垂直方向の運動が制限され、磁場の方向を向いたらせん運動を行う…ということもプラズマ物理を学んだ者ならば分かっていると思う。

そこで、早速外部磁場が存在する中での電子とイオンのシミュレーションを行うアプレットを紹介する。

アプレットを開く

以下のようなアプレットが開かれるだろう。

左カンバスは磁場がない場合、右カンバスは磁場がある場合のそれぞれ100個の電子とイオンの熱運動をシミュレーションしている。赤丸が電子で、青丸がイオンである。前のアプレットと同様、相対論や衝突を無視している。

左のカンバスでは、電子がランダムな方向にランダムな速さ(ただしマックスウェル分布に従っている)で運動していることが分かるだろう。一方、右カンバスでは電子の運動をよく見ると、らせん運動をしていることが分かるだろう。

ここで、シミュレーションスピードや空間スケールのスクロールバーを(上手に)調整してもらいたい。電子のみならずイオンもらせん運動を行なっていることや、電子・イオン共に磁力線に沿った運動をしているのも見られるだろう。


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